第59回
REBECCAのコンサートには、地響きのような歓声と拍手、そしてどよめきがあった!
2017/09/14
これはどういうことかというと、どんなにすごいバンドでも、解散したときの状況が、惜しまれながら解散したのか、落ちぶれはてた末に解散を余儀なくされたのか、ではその後の展開がまったく違ってしまうということである。
「BOØWY解散の衝撃度は測り知れないものがある!」
具体的な例をあげるとBOØWYは人気絶頂期の1987年12月24日に〈解散〉を宣言。翌88年4月4日、5日に東京ドームで行った〈LAST GIGS〉でバンド活動に終止符を打った。
もしも今、BOØWYが復活したとするならば、解凍されるとあのときのままの〈鮮度〉で復活するということであり、この〈衝撃度〉は測り知れないといえるだろう。
そんなことを頭に入れて昨今の再結成、復活ブームを考えてみたい。
「REBECCAが武道館で〈復活コンサート〉!」
8月31日(木)、日本武道館でREBECCAの〈REBECCA LIVE TOUR 2017〉を見た。
開演前から武道館の熱気は違っていた。今にも沸騰しそうな熱さが感じられたのだ。〈再結成・復活コンサート〉に私はたくさん行ってはいるが、熱気にもいろいろな種類がある。そんな中でも特に人気者というか、カリスマ的アーティストには“どよめき”が湧き起こるのだ。歓声と拍手はどれも同じだが、地響きのようなものと言ったらいいかもしれない。この地響きのような歓声と拍手には「待ってました」という観客の〈心の叫び〉が凝縮されているのだ。
NOKKOが登場したときには確かにその“どよめき”があったのだ。そのとき私は、これはかつて売れたバンドの単なる〈再結成・復活コンサート〉ではない、と確信した。
「NOKKOは同世代の女性たちのトレンドゲッターだった!」
REBECCAは1984年4月にシングル「ウェラム・ボートクラブ」、5月にアルバム「ヴォイス・プリント」でメジャー・デビューを果たした。しかし、まったく売れずに、メンバーの間でこのままではクビだなという声も出ていたほどだ。
その後の活躍は言うまでもないだろう。「フレンズ」以降、「ボトムライン」「ラズベリー・ドリーム」「モーター・ドライヴ」「LONELY BUTTERFLY」「モノトーン」などヒットを連発、またアルバムは「REBECCAⅣ」「TIME」「REMIX REBECCA」「BLOND SAURUS」などが軒並みアルバム・チャートの1位にランクインして、REBECCAは当代随一のスーパースターとなったのである。
紅一点のNOKKOのキュートでパワフルなボーカルやファッションが同世代の支持を受けて、NOKKOは同世代の女性のトレンドゲッターになったのだ。その意味では、NOKKOは女性ロッカーの単なるスターというよりも“オピニオンリーダー”だ、と言っていい。
NOKKOの一挙手一投足が注目を浴び「これから……」という矢先に、REBECCAは91年に突然解散してしまった。人気絶頂期での突然の解散は、BOØWY同様に高い〈鮮度〉を保ったまま瞬間冷凍されてしまったのだ。
「REBECCAには言葉で言い表わせない何かがある!」
26年前に瞬間冷凍されたREBECCAが今、解凍された。〈鮮度〉を保ったままだ。「ウォー」という“どよめき”は解散コンサートのあのときのままだ。つまり、今回のライブ・ツアーは解散コンサートの続き、というか、あのときの〈第2部〉と言っていい。
26年が過ぎて、NOKKOを始めとしてメンバーの土橋安騎夫、高橋数之、小田原豊もいい方向に年を重ねたのか、アーティストとして味が出てきたようだ。若かった“あの頃”も良かったが、年輪を重ねた彼らも親近感が持てる。いや、NOKKOのボーカルは全盛期よりも声が出ているのかもしれない。NOKKOを含めてメンバーはみんないい人生を送ってきたに違いない、と私は確信した。
REBECCAには言葉では言い表わせない何かがある、と武道館ライブで身を持って体験した。その〈何か〉があるからこそREBECCAは特別な存在なのだろう。
(文/富澤一誠)