第70回
シティポップスこそ川島ケイジのオンリーワン世界!
2018/02/22
2月14日(水)、東京目黒のブルースアレイ・ジャパンで〈川島ケイジ バレンタイン・コンサート〉を見た。久しぶりのライブだったが着実に自分なりの世界を確立しつつあるようだ。
川島ケイジは2016年8月31日にユニバーサルミュージックよりミニアルバム『KEIJI』でメジャー・デビューした。〈類い稀なる声、魂から生まれる歌唱、抜群の存在感を兼ね備えたアーティスト〉として鳴り物入りのデビューだった。
しかしながら、今のご時勢は、だからと言って、昔みたいにすぐさまヒット曲が生まれてブレイクするというわけにはいかない。鳴り物入りでデビューしたアーティストでもそのほとんどが「こんなにいいアーティストなのになんでもっと売れないのか?」という嘆きの対象になってしまう。
川島ケイジとて例外ではない。そして自然とフェイドアウトしてしまう。
川島は? と思っていたら、川島はどっこいたくましく生きていた。なぜか? 彼はデビュー前からライブをベースにして地道な活動を続けているからだ。
最近はCDをリリースしたからと言って、テレビ、ラジオであおってもなかなか浮動票はつかめない。やはり、ひとつずつライブをこなして固定ファンをつかんでいくしかないのである。
そのためには、歌だけではなく、おしゃべりでキャラクターを打ち出してお客さんに気に入られてハートをつかむしかない。それができるか、できないか? で、鳴り物入りでデビューしたアーティストの〈NEXT〉は決まってしまうのだ。
「川島ケイジの“歌の表情”が豊かになった!」
鳴り物入りでデビューした川島ケイジはメジャー・デビューしてからも着実にライブを積み重ねている。その結果が、ブルースアレイを1日2回公演で満員にしてしまうということだ。
正直に言って、会場に入った瞬間に熱気を感じた。この熱気は本物だった。みんなが今や遅しと川島の登場を待っているということを肌で感じた。つまり、ここに来ているお客さんは義理で駆けつけた人ではなく、川島が自分の魅力でつかみ取った本物の固定ファンだということだ。
「『ショコラ』〜『接吻』〜『君をのせて』のメドレーが圧巻だった!」
ライブの内容も前に見たときよりもさらに充実していた。特に“歌の表情”が豊かになっていたことは特筆される。
川島は元々ロックシンガーなので、歌がどうしてもはハードにソリッドになってしまいがちだ。もちろんこれはこれでいいのだが、しかし、これではたくさんの人々のハートをつかむというポピュラリティーに欠けてしまう。ハードでソリッドではなくて、ソフトでジェントルな“大人の雰囲気”がないと、やはり大人のファンを獲ることはできない。
それが川島の課題だったが、このライブではその課題を克服しつつあるようだ。それが〈歌の表情が豊か〉だった、と私は思う。
オリジナル曲、カバー曲など新旧取りまぜて13曲程歌ったが、出色のできだったのは〈「ショコラ」〜「接吻」〜「君をのせて」〉のメドレーだった。特にオリジナル・ラブの「接吻」、沢田研二の「君をのせて」のカバーは群を抜いていた。これぞ〈演歌・歌謡曲〉でもない。〈Jポップ〉でもない。良質な“大人の音楽”〈Age Free Music〉である。
言ってみれば、AORというかシティポップスというか、これが川島ケイジがめざすべき〈オンリーワンの世界〉ではないだろうか? そんなことを考えると、日本の〈シティポップス〉のパイオニア・南佳孝と組んで新曲をコラボレーションしてみたらどうだろうか? 松井五郎作詞、南佳孝作曲、川島ケイジ歌、私がプロデューサーだったらこのプロジェクトで勝負を賭けようと思う。時は今! である。
(文/富澤一誠)
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