ひらりさん 「奥のステージ横が今なら空席です」座席へ案内してくれた女性スタッフの言葉に我が耳を疑った。なぜならその席はステージに接しているにもかかわらず、アーティストが舞台へ上がる花道を兼ねているのだから。 TLCはデビューからオンタイムで聴き続けてきたアーティストだ。'92年にデビュー前のプロモ音源を聴いてすぐ、その輸入盤を手に入れるために当時渋谷の裏通りにあったタワレコの旧店舗へ走り、徹夜でチケットを入手した'00年の来日公演がT-Bozの病気で中止になった時には悔しさに身悶えし、その後Left-Eyeが不幸な事故で他界したことで二度とステージを観ることができないと思っていたTLC。その単独公演を最良の座席で観られるなんてなんという幸運。Left-Eyeのトレードマークだったフェイスペインティングをして来ている人もおり、否が応でも期待と興奮は高まってしまうのでした。 照明が落ちると、大きな歓声で場内があっという間に埋め尽くされた。控え室と客席を隔てる扉がゆっくりと開き、現れたT-BozとChilliの2人は思っていたより小柄だったけど、そこはBig Nameらしく圧倒的な存在感を身にまとっており、ゆっくりと歩いてステージまでの花道を進む。そして、「特等席」から差し出した私の左手にハイタッチをした2人がいきなり始めたのが、デビューアルバムからの"What About Your Friends"。アップテンポな曲が多いデビュー盤からはほとんど演らないだろうという私の予想は初っ端から裏切られ、座席から弾かれた体は理由無くリズムを刻み始めてしまう。総立ちとなった会場全体が、まるで人気Clubにでもなったかのような盛り上がりからLiveは本編に突入したのでした。 普段ならバックの音質が気になったりする私なのだが、今日に限っては細かいことは一切気にならなかった。なぜならステージから一時も目が離せず、最後の曲までついに着席させて貰えることはなかったから。全曲がTop10 Hitsのオンパレード。全曲が口ずさめ、全曲が踊れる。そして視線が合うごとにステージからハグやハイタッチを繰り返されたら思考回路もショートするわいな。 "Waterfalls"からはスクリーンに当時のPVが映し出され、Left-Eyeの姿に泣き出す人も。唄うのみならず当時のダンスも惜しげなく披露してくれ、アンコール前のインターバルには控え室に戻らず、差し出されるものすべてにサインを書こうとする姿がとても好感を持てました。 全曲を終えた後、拙い英語で私が伝えた「TLCはずっと特別な存在。また日本に」との言葉に、「Why not! (もちろん!)」と舞台横で力強くハグしてくれたT-BozとChilli。是非またそのステージを堪能したいものです。 いいね! 11 コメント 0 2020/10/23 (金) 16:56