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LIVE MASTERS

黒木 渚

2017.11 GUEST黒木 渚

テーマ黒木渚の今とこれから

菅野:菅野結以が@FMからお送りしています『LiveFans』11月のマンスリーゲストは、この方です!

黒木:黒木渚です。よろしくお願いします。

菅野:よろしくお願いします。黒木渚さんと毎週違った角度からLIVEをテーマをお話をしてきたんですが、今夜が最終週ということで、いつも黒木さん、本当に言葉が素晴らしいんで、話が面白くて長くなっちゃいますね(笑)。最後なのでよりがっつりと訊いていきたいと思うんですが、最終週のテーマは、<黒木渚の今とこれから>。デビューしたときから時を経て、今の自分、一番変わったところとか、変わらないものととか、どんな部分だったりしますか?

黒木:一番変わったところは、自分の弱さとかそういった面を愛することができるようになったところかなと思ってて…。

菅野:うわぁ。もうこれ雑誌のタイトルに入るやつが一言目からきた!

黒木:(笑)。とにかくやっぱり強い女。強いことは美しいという美学でやってきて、人前で弱さを出すとか、そういうものをダダ漏らしにすることに対してカッコ悪いという意識があったんですよね。なので、完璧に完璧にみたいな意識で生きてきたんですけど、やっぱり挫折も途中であったし、挫折した時に自分の目指していたヒロイン像というのがボキっと折れて、立ち向かわなきゃいけない自分の弱さみたいなものはやっぱり存在しているっていう、自分のことをタフだタフだってすごく暗示をかけて生きていたくせに、これはもう無視できないと。この弱さは…。で、これどうしたものかなと思った時に、「あぁ、私は音楽家なんだから、やっぱり曲にするしかないんだ」っていう。弱さを初めて曲にして、涙を流したこととか、そういう部分も初めてファンと共有したことで、未熟な自分を愛していくしかないんだっていう、未熟な私と肩を組んで復活するっていうその一場面があったことで、他人の弱さとか不完全さに対しても許容することができるようになったというか、それは一段階上の強さだと思うんですよね。そこに到達できたのがデビュー時と今の大きな差かなと思いますね。

菅野:デビューのときはバンドだったじゃないですか。そこからソロになって、より強くいなきゃみたいな部分もあったのかなという感じが、見ててしたんですけど…。

黒木:そうですね。すべての決断を自分で行わなきゃいけないし、それによってくっついてきた結果みたいなものにすべて責任を負うっていう覚悟でやってくるとやっぱりヘタレのままじゃダメだみたいな意識はありましたよね。けど良い意味で「人間だもの」精神みたいな、私だって人間だし、私だって女だよみたいな開き直りがちょっとできるようになったのはかえって良かったのなっていう…。

菅野:孤高の存在みたいな風に周りからは見えるんですけど、1回お休みしたことによって、かなり人間臭くなった感じっていうのがあるんですかね。

黒木:そうですね。悩みとか他人に相談しないタイプだったんですけど、ちゃんと言えるようになりました。他人に対してあんまり関心がなかったのかもしれないんですよ。私は私で強くやっていきますんで、皆さんもどうぞ強く生きていてください、みたいなタイプだったのが、もうちょっと労わりの気持ちを持つというか、他人に対して関心が湧くというか….。

菅野:へぇー。そうは休んだ期間があってということですか?

黒木:だと思いますね。

菅野:やっぱり自分の心がちょっと弱ったときに、他人のそういうものに触れたからっていうことなんですかね。

黒木:ひとりで何でもやってきたような気でいたけど、ものすごく支えられてたし、周りの人がいないと再び復活することはできなかったんで、それをすごく身に染みてわかった…。

菅野:神が与えたお休み期間だったんですね、きっと…。

黒木:乗り越えた今となってはいい1年だったなと思いますね。

菅野:バンド活動からソロになって、そこから1回お休みして復帰っていう今ですけど、今後はどんなアーティストになっていきたい、目指すべき像みたいなのあります?

黒木:私、何をやっても、ソロでも、バンドでも、小説家としても、やっぱり本名の「黒木渚」で戦ってきてるんですよね。そこはもう逃げも隠れもできない。もう出しちゃってるし(笑)。そこで戦っていくんだって決めて走ったので、こうなったら何をやってもいい人になろうと思って。何をやったって黒木渚だっていう事実は変わらない、ブレないので…ということはすごく有利なこととも感じていて、元々LIVEの演出はこだわったりとか、新しいものを取り入れたいっていう意識もすごく強かったし、色んな顔を持っているとしたら、それを融合させて、大きな黒木渚を作っていくっていう道筋はなんとなく見えていますね。

菅野:今は音楽家、小説家っていう2本の大きな柱があると思うんですけど、そのほかにまた柱が増える可能性がある?

黒木:もしかしたらあるかもしれないですよね。空手家とか。

菅野:空手家かぁ(笑)。ちょっとそこは予想つかなかったなぁ。たしかに強うそうだけど。

黒木:書道家とか、いろいろ派生していく可能性ありますよね(笑)。あんまり肩書きに縛られず、黒木渚なんだっていうところに戻ってこれれば何をやったっていいと思ってます。

菅野:どれをやってもちゃんと黒木さんの美学が貫かれそうな気がするから、何やっても大丈夫感ありますね、たしかに。女優やろうとかいうのないんですか?

黒木:女優かぁ〜。女優さんってすごくないですか?

菅野:黒木さんのLIVEって結構演劇的というか、すごく入りきって演じる感じがあるから女優もすごい向いてそうだなっていう感じするんですけどね。

黒木:でも長ゼリフとか、裁判のシーンとかで長ゼリフとかきたらもう私、プレッシャーで眠れないですよ(笑)。

菅野:小説は書けるけど、そこは…なんですね(笑)。

黒木:記憶力にちょっと自信がない(笑)。

菅野:じゃあもし短めのセリフのがあったらぜひ挑戦してほしいなと思います(笑)。プライベート的にはあります?今後、こうなっていきたいっていう…女として。

黒木:女としてかぁ。肩の力を抜いていけたらといいなと思ってますね。すごいリラックスしている状態って神掛ったものが生まれる気もするし、日常生活でもあんまり固くなると愉快に過ごせないじゃないですか。私、“解放区への旅”っていう曲のなかで「今を生きる」っていうフレーズを一番最後に持ってきていて、今まで結構小難しい歌詞を歌っていたくせに、一生懸命考えた結果、「今を生きる」っていうどシンプルなフレーズが生まれてきて、そのとき、そうだよなって思ったんですよ。昔のこととか将来のこととか案じすぎて今を台無しにするのは良くないと思ってて、毎秒生まれ変わる、生まれたてみたいなみずみずしさで、私生活を生きていきたいなって思ってます。

菅野:へぇー。今まではちゃんと計画を立てて、みたいにやっていくタイプだったんですか?

黒木:ストイックな時期も結構あって...。だけどそういうのはやめて、良く呑み、良く遊ぶみたいな(笑)。それで、良く働くみたいなのがベストなんじゃないですかね。

菅野:すごいモード変わってきたんですね、ここ最近で。一番いい、気持ちよく生きていられる…今調子良さそうな感じですね。

黒木:うん、そうですね。

菅野:良く呑み、良く遊び、良く働く。書道で飾っておきたい感じですね。LiveFansスタジオに…。

黒木:ありますよね、居酒屋の壁とかに貼ってあるやつですよね(笑)。結構ハッとするんですよね。

菅野:プライベートでも楽しみつつ、これからも色んな黒木渚を見せていこうということで、4週に渡って色々お話を伺ってきて、今後のLIVEもすごい楽しみだなという感じがするんですが、LIVE近々ありますか?

黒木:「音楽の乱」というツアーを回っていて、追加公演があります。12月1日(金)大阪BIGCAT、それから愛知を12月15日(金)名古屋ダイアモンドホールですね。

菅野:そしてさらに来年のLIVEも決まっている?

黒木:はい。2018年2月24日(土)ワンマンライブ「〜幻想童話〜砂の城」という一夜限りのワンマンライブをやります。東京・昭和女子大学の人見記念講堂をお借りして開催します。

菅野:幻想童話…ちょっといつもとは違うLIVEになる予定なんですか?

黒木:そうですね。いつもはツアーでストーリーを持ち回っているという感じだったんですけど、一夜限りにしようと思って。砂のお城みたいに一晩で豪華なものを作って、楽しんだら切り崩しちゃうみたいな、潔く捨てるために作るみたいな…。そういうのって儚くていいなっていうイメージがあって。あとやりたいことが本当にいっぱいありすぎて…1年も休んじゃってたんで溜まってるんですよ。インプットがありまくってるんで、それをどうにか形にしていきたいなということで、その第1弾としてやりますね。

菅野:色々聞いてきたんですけど、今ももうバリバリ書いてたり作ってたりするんですか?

黒木:そうですね。今はちょうど新作の長編小説を書いているところです。

菅野:おお!長編を書いてるんですね、またもや!

黒木:でも早速行き詰まってて…ちょっとハイボール呑もうかな、みたいな日が多いです(笑)。

菅野:ハイボールとともに書いてるんだ(笑)。新作の“解放区への旅”にも短編というか、小説入ってますもんね。

黒木:そうなんですよ。読み切りで「雇われ地蔵」っていうお話が入っていて...。

菅野:「雇われ地蔵」…タイトルから気になってしょうがない。

黒木:これはボツ作品になったものを9割5分書き直して、再生させたというか…。

菅野:9割5分ってほぼ新作…。

黒木:そう(笑)。地蔵が第1人称になってるんですよね。お地蔵さんの目線で街を定点カメラで観測したりとか、全国の地蔵を束ねているホニャララ様っていう存在がいたりして、そのことを書いていて絶対ボツにしたくなかったんですよ。でもボツのまま出すのは癪だったので、だったら絶対面白くして出してやろうと思って…。

菅野:面白くなったから出したってことですね。これはどれにも付いているんですか?

黒木:初回限定版Bに付いてます。

菅野:なんて贅沢な!初回限定版Bを買わないと読めない。

黒木:そう、(初回限定版)Aには、MV集が付いているんで、好きな方を…。

菅野:これ、両方とも買っちゃうやつじゃない?

黒木:(笑)。

菅野:小説あとでじっくり読ませていただきます。じゃあ執筆のほうも音楽作るほうもLIVEのほうも今後の色んな道も楽しみにしております!1ヶ月間本当にありがとうございました。最後に1曲聞きながらお別れになるんですが、何にしましょうか?

黒木:それでは1曲、新しいシングルから“ブルー”という曲を聴いてください。

菅野:11月のLiveFans、マンスリーゲストは黒木渚さんでした!ありがとうございました。

黒木:ありがとうございました。

ARTIST INFORMATION

黒木 渚

独特の文学的歌詞で、女性の強さや心理を生々しく歌い上げる、孤高のミュージシャン。
2012年12月に1st Single「あたしの心臓あげる」でデビュー。

2015年10月にリリースした2nd Full Album「自由律」がオリコンチャート初登場10位にランクイン。翌月には初の連作小説「壁の鹿」で小説家として文壇デビューも果たす。

同月から6大都市で開催された「ONEMAN TOUR『自由律』2015」はSOLD OUTが続出。
演劇的、文学的、音楽的、そして1人の女の生き方を見せるドキュメンタリー、様々な要素をミクスチャーしたライブスタイルで多くの人を魅了した。

2016年4月、5th Single「ふざけんな世界、ふざけろよ」をリリース。
同年7月には、配信シングル「灯台」をリリース。
iTunesのトップソングで過去最高の4位にチャートインした。

2016年8月、咽頭ジストニアにより喉の治療のため音楽活動を休止。

2017年4月、講談社より初の小説単行本「本性」を発売。
同年9月に復帰シングル「解放区への旅」をリリースし、現在は4大都市ワンマンツアー「音楽の乱」を開催中。

さらに2018年2月24日には昭和女子大学 人見記念講堂にてワンマンライブ「〜幻想童話〜砂の城」の開催が決定している。

RELEASE

CD解放区への旅 初回限定盤B Limited Edition, Maxi

解放区への旅 初回限定盤B Limited Edition, Maxi

2017.09.20 Release
Lastrum

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近年、ライブ動員数は増加傾向にあり2016年は過去最高の4,768万人を記録。ライブやフェスといったリアルの場での音楽体験を求めるユーザーが増えています。本番組では、そんなライブに徹底的にこだわり、あらゆる角度からライブの魅力を紹介していきます。