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角松敏生さんのインストゥルメンタル曲のツアー、首都圏の会場は、この3月末をもって休館するという50年の歴史をもった神奈川県民ホール(通称・カナケン)。 あいにく当日は、温かくなりはじめると不安定になってしまう春先の雨だったけれど、チケットは完売、3階までの約2500席が満員でした。終演のころには、週途中の平日ということを、皆がうっかり忘れてしまいそうな、特別な盛況ぶりだったと思います。 冒頭から6~7曲ほど連続で、怒涛のような勢いの構成。待ちかねたように立って踊る人も少なくない客席。今回は歌声ではなく、角松さん渾身のギターの音色に導かれ、引きこまれます。 インストは、聞く側としては集中して旋律に耳を傾けていると、楽器それぞれのパートを同じような比重で味わえるのも楽しいところ。各メンバーの鮮やかな演奏をじっくり聞ける、ソロの受け渡し部分などもまた秀逸でした。カッコいい音をふんだんに浴びる二時間半、堪能させていただきました。 角松さん御本人はレコーディング中の過密スケジュールで今日は万全のコンディションではないと言っていたものの、ホール全体を沸かせるだけの迫力はじゅうぶん。客席側も、歌ものを期待しすぎるわけでもなく(笑)インスト曲をメインに、熱く楽しむ人たちでいっぱいだったようです。 トークでは、たとえば、「飛翔」を作ったきっかけになった、昔の印象深い女性のエピソードも聞けました。旧作からは他に2曲※(合計3曲)が今ならではのアレンジで演奏され、客席でも誰もが若いころに見た夢を、今までの時間を通して思いうかべなおすかのような瞬間もあったのではないでしょうか(客席にはきっと、いま若いひとも若干いらしたかもしれないですが(^^;))。 翻って現在の、「年をとると、無駄な事ができなくなります」(いろいろと限られてきてやるべきことが見えてくる)という何とも深い含みのある気づきも語られました。これもまた客席でそれぞれが思うところのある内容だったかもしれませんね。 最後のほうに、角松さんからも神奈川県民ホールの終幕に思いを馳せるような深いお辞儀がひと呼吸ぶんくらいあり、そして公演終了後の会場アナウンスに付け加えられた「そして 神奈川県民ホール、ありがとうございました」の一節には、退場しかけた客席からも多くのひとがハッと振り返るような拍手が起こっていました。 様々な感動と感慨をいっぱい与えてくれた横浜の、思い出深い一夜になりました。角松さんにもバンドの皆さまにも、そして会場の神奈川県民ホールにも感謝もうしあげます。ありがとうございました。 ※追記:旧作からの今回公演インスト曲は、セットリストをご覧になると判ると思いますが、全体ではもっと多く数えると4曲くらい増えて7~8曲ありました。ここではちょっとマニアック(笑)に「今回特に準備された新アレンジ旧作」に着目した表現になっています。

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