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富澤一誠のライブ・カルテ! 第49回 : 「鈴木雅之は言う。『オーケストラと同じ舞台に立つということは自分が裸にさせられるという事です』」

第49回

鈴木雅之は言う。『オーケストラと同じ舞台に立つということは自分が裸にさせられるという事です』

2017/04/13

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 Jポップ・アーティストとオーケストラのコラボレーションからなる〈シンフォニック・コンサート〉が新しい地平を切り開きつつあるようだ。

 記憶に新しいところでは、去年の12月22日に東京芸術劇場で行なわれた千住明指揮・編曲による東京ニューシティ管弦楽団と大貫妙子の〈シンフォニック・コンサート〉は素晴らしかった。そのときのことを彼女はこんなふうに語ってくれた。

「普通のコンサートと違って、歌がとにかく大変ですね。やっぱり40人以上のミュージシャンを背負っているので、歌わされるっていうか、後ろから音圧が押してくる感じで体力を使います。でも気持ちがいいですね」


「“バラードの王様”とオーケストラの“親和性”はぴったりだった!」

 大貫妙子の〈シンフォニック・コンサート〉のいいイメージがあったので鈴木雅之のシンフォニック・コンサート〈masayuki suzuki 30th Anniversary Special 2017 鈴木雅之with オーケストラ・ディ・ローマ featuring服部隆之〉(4月12日、東京芸術劇場)へ行ってみた。

〈バラードの王様〉がオーケストラとどんなふうにコラボレーションするのか?興味があったからだ。むろん鈴木の歌唱力を持ってすれば“バラード”とオーケストラは上手くマッチして壮大なラブソングが生まれるはずだ、と予想はできた。しかし、問題は一連のポップなヒット曲をオーケストラとコラボできるのか?ということは想像ができなかった。

 案の上、すべり出しは「ガラス越しに消えた夏」で上々のできだった。そして「冬のリヴィエラ」「愛燦燦」「少年時代」「いつか街であったなら」と鈴木ならではの真骨頂だった。まさしく〈シンフォニック・コンサート〉でなければ聴けない格調の高さと味わいの深さだった。

続くエルビス・プレスリーのカバー曲「好きにならずにいられない」も良かった。ボーカリスト・鈴木としての“原点”ともいうべきこの歌をオーケストラと見事にコラボしたところに鈴木のボーカリストとしての“美学”を見たような気がした。


「ありえない“総立ち”現象に私は我が目を疑った!」

 後半は服部隆之作曲・指揮によるテレビ・ドラマ〈華麗なる一族〉のテーマソングをオーケストラ・ディ・ローマとの共演。これは実に素晴らしかった。

オーケストラ・ディ・ローマは1990年に設立され、フル・オーケストラとして活動すると同時に、アンサンブルや室内管弦楽団としても公演を行って日本での人気も高い。そんなオーケストラと劇伴の作曲家としては第1人者の服部隆之との見事なコラボレーションはオーケストラでしか聴くことができない至上の幸福だった。

 「華麗なる一族」で雰囲気を変えた後、今度はこれが〈シンフォニック・コンサート〉なのか?とびっくりするような展開が始まったのだ。

 「東京ブギウギ」の演奏が始まると、それまで客席に静かに座っていたお客さんが〈総立ち〉になったのだ。それは「ランナウェイ」「め組のひと」と一連のヒット曲でさらに盛り上がりを見せた。

私は目を疑ってしまった。〈シンフォニック・コンサート〉は静かに聴くものである、という常識が壊されたからだ。しかも、それは自然と生まれたところに鈴木のアーティストとしての幅の広さと深さを改めて認識したことはなかった。

 去年、ソロ・デビュー30周年、還暦を迎えて鈴木は〈原点回帰〉をしたという。歌をなぜ歌い始めたのか?それを確認するためには“裸”になって自分自身を見つめ直すことから始めなければならない。そのためにはこれまでにまとってしまった虚飾の服をいったん全て脱いでみなければならないのだ。オーケストラで歌うということは、もう一度、裸になって“素”のままで歌うことだ。そこに今回の〈シンフォニック・コンサート〉にチャレンジする意図があったのではないか、と私は思っている。


 楽屋で会ったときに鈴木雅之がちらりともらした言葉が印象的だった。

「オーケストラと同じ舞台に立つということは自分が裸にさせられるということです。素のままでどれだけできるのか?まさに原点回帰です」

(文/富澤一誠)

【関連リンク】

  • 大貫妙子 『大貫妙子 Symphonic Concert 2016』@ 東京芸術劇場 コンサートホール (東京都) 2016/12/22 (木)
  • 鈴木雅之 『masayuki suzuki 30th Anniversary Special 2017 鈴木雅之 with オーケストラ・ディ・ローマ featuring 服部隆之』@ 東京芸術劇場 コンサートホール (東京都) 2017/04/12 (水)

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プロフィール

COLUMNIST
富澤一誠
富澤一誠

わかりやすいキャッチコピーを駆使して音楽を語る音楽評論家。
1951年、長野県須坂市生まれ。東京大学中退。71年、音楽雑誌への投稿を機に音楽評論活動を始め、以降、44年間に及ぶ評論・執筆活動において、一貫して追い求めているテーマは<音楽を熱く語る>こと。
音楽に対する理念は「いい曲は売れてあたりまえ」「いい曲、いいアーティストにチャンスを与えたい」。現在、レコード大賞常任実行委員、尚美ミュージックカレッジ専門学校客員教授も務めている。
著書に、ベストセラーになった「俺の井上陽水」「松山千春・さすらいの青春」「さだまさし・終りなき夢」を始めとして「あの素晴しい曲をもう一度」(新潮新書)「フォーク名曲事典300曲」「J-POP名曲事典300曲」「Age Free Music・大人の音楽」(共にヤマハミュージックメディア)「『大人の歌謡曲』公式ガイドブック」(言視舎)「ユーミン・陽水からみゆきまで」(廣済堂新書)など全62冊。現在<Age Free Music!>(FM NACK5)、<Age Free Music~大人の音楽>(TOKYO FM系列JFN36局ネット)、<昭和ちゃんねる・富澤一誠の青春のバイブル>(USEN I-51)、<あの年この歌>(BSジャパン)などのパーソナリティーとしても活躍中。レコード会社15社合同キャンペーン<Age Free Music~大人の音楽>総合プロデューサーとして、良質な<大人の音楽>を推奨している。

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