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LIVE MASTERS

GLIM SPANKY

2018.04 GUESTGLIM SPANKY

テーマGLIM SPANKYの転機となったLIVE

菅野:菅野結以が@FMからお送りしています『LiveFans』4月のマンスリーゲストは、この方々です。

松尾:GLIM SPANKYのギター&ヴォーカル、松尾レミです。

亀本:ギターの亀本寛貴です。

菅野:さあ、いよいよ大きなLIVEがもう迫ってきてますね。5月12日「GLIM SPANKY LIVE AT 日本武道館」!もう残り1ヶ月くらいですけど、この武道館というのは踏みたいステージでしたか?

亀本:特に意識はしていないというか、そんなに気にはしてなかったというところはあるよね、正直。

松尾:もちろんボブ・ディランとかビートルズとか好きなミュージシャンたちが立ってきた場所なので本当に誇りある場所だなと思うので嬉しいんですけれど、特に日本武道館で絶対やりたいとはあんまり思ってなかったんです。でもこういう風に言っていなかったにもかかわらず日本武道館でやることが決定して、本当に皆さん、ありがとうございます!という感じです。感謝してます!って言いたいです。

菅野:武道館やるよっていうとファンのみんなすごい喜びませんか?

亀本:やっぱリアクションはすごいあったよね。

菅野:緊張とかします?LIVE前…。

亀本:普段はそんなしないですけど、(緊張)しないよね?僕は全然しない。

松尾:しない。LIVEステージに上がる直前はします。SEが流れて、今からステージに行きますっていうときには「間違えたらどうしよう」とかは思うんですけど、でも基本的にはしないかもしれないなぁ。

菅野:ほんとのギリギリのそこなんですね、SE鳴ってから。それまではいつもリラックスして本番を迎える感じなんですか?

亀本:リラックスというか、特に何もしていないんですけど、間違えたらどうしようと考えると緊張しますし、それを考えると間違えるんで。(サッカーの)本田圭佑選手がTwitterに書いていて、僕は教訓にしているんだけど、ミスをするなと言ったら絶対にミスをする。だから大事なことは、ミスをしないようにすることじゃなくてミスっていう概念を意識しないことだから、そういう精神のモチベーションで持っていかなきゃいけないと。それは日本の多くの指導者が間違っているみたいなことを本田選手は言っていて、たしかにミスしたらどうしようと思ったら絶対ミスるなと。だからそれを意識をしないようにする。でもミスを意識しないようにするってことはもう意識してるんじゃないかみたいな話もあるですけど(笑)。モチベーションとしては失敗っていうものを忘れ去るように僕はモチベーションを持っていってる。だから緊張しないし、ミスって考えたら緊張するもんね?

松尾:そうなの。やっぱり歌うときって歌詞が飛ぶときがあるんですよ。いくら練習しても、いくら覚えていたとしても、自分の言葉であっても、やっぱり飛んじゃうときってあって。それを怒髪天の増子さんに相談したんですよ。ちょうどその相談したときに飛ぶのが何回も続いていて、「増子さん、こういうときってどうしたらいいですか?」って訊いたら、「俺もめっちゃ飛ぶよ」って。何度もやっても飛ぶけど、例えば1番のところを2番で歌っちゃったということがあったとします。そしたらそれは自分の口から出てきた言葉なんだから1番も2番も関係なくて、「どっちもみんなに伝えたい言葉が口から出ているから。いいんだよ、それで。」って言われて。

菅野:おぉ!

松尾:増子さん、ありがとう!みたいな。

亀本:本番が始まってやっちゃったらもう開き直るしかないみたいなところは正直あるよね。

松尾:うん。どんな言葉が間違って出たとしても、それが君の今伝えたい言葉だったんだよっていうことをすごい言ってくれて、そこからちょっと強くなりました。

菅野:間違えちゃったって思わないということ…。

松尾:そうですね。今、私が出してしまった音が今みんなに伝えたいことなんだって開き直ることができるようになった。たしかにそうだと思う。

亀本:LIVE始まって起きちゃったことはもう起きたことで堂々とやらないと。ミスしたってバレたり、それが自分のリアクションとして出ちゃったりすると一番それが申し訳ないからと思って常にやっているんですけど。ツアーで1個、これ成長したことなのか成長してないことなのかわかんないんですけど、1曲目の始まりのときに、ギターのヴォリュームをOFFにしちゃってたんですよ。自分がバーンって入るときでOFFになってるって気付かなくて、バーンって入ったのに「あ、音出ない」ってなって。途中で上げて入ろうとしたんですけど、途中から入ったら途中から入ったってバレるから、まず8小節あるとしたら、フレーズが4小節ずつ区切れてループされたりするじゃないですか。最初の1周を待って、2周目から入ればそういうアレンジだって聞かせられると思って、1周OFFで待って、ドヤ顔して次から入ったりして…。成長したのかしてないのかわかんないんだけど、そういうのもツアーで身に付けました。

菅野:大事それは。あたふたしちゃうよりも堂々しているものですからね、ステージに立つ人は。じゃあ武道館も期待しておりますんで。

亀本:はい。武道館もなんとかミスをごまかして…。

菅野:(笑)。ミスって今日何回言ってるっていうくらい言ってますけど。

松尾:ミスじゃない(笑)。考えちゃいけない。そのときの表現なんで!

菅野:ということで、毎週違った角度からLIVEをテーマにお話しているんですが、今週、3週目のテーマは、「GLIM SPANKYの転機となったLIVE」。たくさんLIVEしてると思いますけど、なかでも転機となったLIVEありますか?

松尾:これはいろいろ悩みました。いろいろやってきたんですけど、私たちが音楽で食べていこうっていうきっかけをもらえたのが、2009年8月に行われました東京ビッグサイトで、「閃光ライオット」っていうイベントで、これがやっぱり私たちにとって大事なLIVEでしたね。

菅野:私は「閃光ライオット」後、いまやっている「未確認フェスティバル」っていうオーディションの審査員をずっとやらせてもらっているんですけど、2009年の「閃光ライオット」はいまでも伝説になっています。この年ほどの豊作はなかったという。全国5500組のなかから14組のファイナリストに選ばれたってことですけど、これはもうグランプリ獲るぞっていう気持ちで応募してたんですか?

亀本:グランプリとまでは考えてなかったよね?

松尾:そうね。

亀本:ただ、ファイナルには残りたいなと思っていたよね。最後、僕らのときはビッグサイトの野外ステージでやったんで、あそこまでは行きたいと思っていたよね。

松尾:当時高校生だったんですけど、地元がすごく田舎なので、まずライブハウスでちゃんとLIVEをしたことがなかったんですね。なので「閃光ライオット」の第一次審査が書類審査。第二次審査がスタジオ審査、第三次審査がLIVE審査になるんですけど、そこで初めてマーシャルアンプを触ったとか、初めてだらけ。

菅野:へぇー!

松尾:「PASS」っていうシールを付けていると出演者ですよっていうのがあるんですけど、それも見たことがなかったんですよ。だから「閃光ライオット」が全部教えてくれた(笑)。

菅野:おぉ!「閃光ライオット」が全部教えてくれた。すごいいいキャッチ!もう審査はワクワクでした?ドキドキでした?

亀本:ドキドキでしたね。一番えげつないのが二次審査。20畳弱のスタジオにバンドが並ぶんですよ。そこにラジオ局の人だったり、レコード会社の人だったりとか20人ぐらい座っていて、その前だけで演奏するっていう、たぶん今やれって言われても死ぬほど緊張するわっていうことだよね。

松尾:みんな、質問もしてくるんですよ。「影響を受けた音楽はなんですか?」みたいな感じで。「うわぁ、東京の人だぁ」みたいな(笑)。でもそこでお世話になった人も今でも繋がりがあって、すごいお世話になっているんでとても感謝しているんですけど、当時は「うわぁ、東京のギョーカイ人だぁ」って思ってました(笑)。

菅野:それが見事、ほんとに目指していたビッグサイトのステージまでいって、ファイナルのステージとか覚えてます?

松尾:めっちゃ覚えてます。すっごい暑くて、まず野外でやることもなかなかないわけで、エフェクターってだいたい小さいライトが付いていて踏むと光る…赤だったり青だったり色があるんですけど、日光がすごすぎて見えないんですよ。踏んでも付いてるのか付いてないのかわからない。

亀本:僕は緊張しすぎてお客さんのほうを見れなかったですね。だから僕はずっとエフェクターボード見てた。レディオヘッドのジョニー・グリーンウッド状態みたいな感じでずっとエフェクター見てた(笑)。

松尾:私、山を見てた。

菅野:レミちゃん山を見てたの?

松尾:そう。ビッグサイトの屋上なんで向こうの山が見えるんですよ。だからとにかく人を見るとやばいので、「山に届け~!」と思って歌ってました(笑)。

菅野:2人ともとりあえずお客さん見てなかった?

亀本:見たら緊張したよね。

松尾:緊張するよぉ。怖かった。

菅野:そのステージと比べて今ではかなり成長した?

松尾:そうですね。高校生の頃にそういう経験をできて良かったなと今思ますね。

菅野:「閃光ライオット」のステージから今の活動に影響していることってありますか?

松尾:すべてがここから始まったので、緊張してしまう自分を映像に撮られて、それを見ることもあったわけです。だからそういうところの目線とか、緊張してるな、かっこ悪いなということも映像に撮られたからわかったことであって、そういうところとか、ステージの立ち方だったりとか、そういう部分というのはほんとに「閃光ライオット」があったから自分を客観視できるようになったなぁとすごい思います。

亀本:僕は「閃光ライオット」のとき、ただめちゃめちゃ緊張した感じでしかなかったんですけど、結局僕らってグランプリにも何もならなかったし、(「閃光ライオット」に関わってる)レコード会社からデビューすることもなかった。でも結果的に今、武道館でLIVEをするアーティストになったわけなんですよ。だからそれ以降の努力が超大事だったし、選ばれる確率ってサッカーでいうとUnder-21代表ぐらいな感じなわけですよ。だけどそこからの努力でみんな変わるじゃん、その後のプロの生活って。いわゆる新人発掘系のイベントってこのバンドはこれが特徴とかってわかりやすいように色々付けるじゃないですか。結構そういうのに囚われてしまう人たちもいたけど、僕らはそこで言われたこととかも何もお構いなしで自分たちがやりたいことをやった結果、ある程度自分たちも納得できるというか、ちゃんと自分たちの道を進めてるというのもあったんで、ここで「君たちはこうだ」って定義されたことを鵜呑みにしなかったというか、ある種、天狗になったりとか、僕たちってこうなんだとか変に思わなくて良かったなっていうのはすごいある。僕はぶっちゃけそれが大きいかな(笑)。

松尾:うん、私もそう思う。

菅野:へぇー。冷静だったんだ、2人とも。

亀本:「君たちってこういうところがいいよね」って言われたらそれが自分たちのいいところだって、まだ19とか20歳なのに、もっと良くなる可能性なんてたくさんあったのに、それがいいところだって言われてそれに囚われちゃう人もいるから。僕らは単純に音楽が好きで楽しいから、聞いたものを好きなことをそのまま自分たちも取り入れてやるぜっていうだけの感じで勝手にやってたから…それはそれで良かったなと思う。

松尾:そうね。あと、「閃光ライオット」に出た後って一瞬やっぱりお客さんが増えるんですよ、LIVEやっても。でもみんな若いし、そんなにLIVEに来られない子たちもいるし、しばらくするとお客さんって減っちゃうんですよね。それで折れちゃうバンドもいたし、でも私たちほんとにたぶん馬鹿だったんでしょうね。何も考えずに、その後お客さんが0人、1人になりましたけど、地道にただただお客さんがいなくてもこの曲は絶対届くはずだと思ってやり続けていた結果、今でもそのお客さん0人、1人でやっていたときの曲をやると、今は何千人の人がウォー!って言ってくれるし、信じ続けてがむしゃらにやってきて良かったなぁとすごい思うので。

亀本:天狗になってた人、リアルにいたと思うしね。

松尾:だからそれが結構戒めになっていて、例えば武道館でやったとしても絶対に天狗になりたくないと思うし、最初の自分たちのスタンスというものを、いい意味でも悪い意味でも現実を見せてくれて、教えてくれたんじゃないかなと思います。

菅野:めちゃめちゃいい話。これほんとどの世界でも通ずる話というか、誰に何を言われようが、選ばれなかったであろうが、我が道を信じて突き進んできた結果が今ここにあるっていうことなんですね。すごい。「閃光ライオット」出てよかった。

松尾:よかったですね。

菅野:じゃあその転機となったLIVE「閃光ライオット」で演奏した曲のなかから1曲お届けしたいと思いますが、かけられる曲あります?

松尾:はい、これは「閃光ライオット」で応募した曲でもありますし、デビュー曲でもあります。大事な曲です。では聞いてください。

松尾・亀本:“焦燥”。

ARTIST INFORMATION

GLIM SPANKY

ロックとブルースを基調にしながらも“新しい時代”を感じさせるサウンドを鳴らす、松尾レミ(Vo/Gt:長野県豊丘村出身)&亀本寛貴(Gt: 長野県飯田市出身)からなる男女二人組新世代ロックユニット。

アートや文学やファッション等、カルチャーと共にロックはあることを提示している。

日本人離れしたハスキーな歌声が、多くのクリエイターを夢中にさせ、既に11本ものCMで歌唱を担当。

現在公開中映画『不能犯』の主題歌「愚か者たち」は、iTunes総合アルバムチャート1位を獲得。

2016年公開映画『ONE PIECE FILM GOLD』主題歌「怒りをくれよ」や、映画『少女』主題歌「闇に目を凝らせば」等を、新人では異例の大抜擢での担当。

2018年5月には初の日本武道館でのワンマンライブも決定。

RELEASE

CD愚か者たち

愚か者たち

2018.1.31 Release
ユニバーサルミュージック

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近年、ライブ動員数は増加傾向にあり2016年は過去最高の4,768万人を記録。ライブやフェスといったリアルの場での音楽体験を求めるユーザーが増えています。本番組では、そんなライブに徹底的にこだわり、あらゆる角度からライブの魅力を紹介していきます。